大脳性視覚障害を伴う重症心身障害児・者の視覚評価尺度

大脳性視覚障害をもつ重症心身障害児・者(以下、重障児・者)の視覚評価を行うことは極めて難しいことです。それは、通常の視覚検査は被検者の協力を必要としているからです。我々は約10年間にも及ぶ研究を通して「重症心身障害児(者)を対象とした大脳性視覚障害重症度評価スケール」(以下、CVIスケール)を開発しました。世界で唯一、大脳性視覚障害を伴う重症心身障害児・者の視覚を定量的に評価できるスケールです。医療専門職でなくても実施できる簡便な検査です。ぜひ使用してみてください。

開発者: 池田 歩、境 信哉(北海道大学名誉教授)

境 信哉(さかい しんや)

プロフィール

作業療法士
北海道大学名誉教授
Scientific Reports(Springer NATURE) Editorial Board Member 

大脳性視覚障害(Cerebral Visual Impairment: CVI)とは

視交叉より後方の視覚路あるいは後頭葉における損傷の結果、視知覚が低下した状態のことです。脳性麻痺の原因で生じることが多いといわれています(脳性麻痺児の60-70%がCVIを示すとする論文もあります)。

CVIスケール完成までの流れ

1. コントラスト感度の測定

2002年のJournal of Child Neurology 17 (10)にて、重症心身障害児・者に対して、空間周波数パターンを用いた視運動性眼球運動法(OKN法)によるコントラスト感度が測定できることを確認・報告しました。

2. 様々な方法によるコントラスト感度測定の試み

追従性眼球運動法や瞳孔反応法による空間周波数パターンを用いたコントラスト感度測定を行い、OKN法が最も多くの対象者に測定可能であることを確認しました。

3. CVIスケール開発

コントラスト感度との比較などを通して、CVIスケールの妥当性を検証しました。信頼性の確認や定量化を行い、平成26年の日本重症心身障害学会誌 39にて公表しました。
なお、CVIスケールは北海道大学で開発されました。

お願い

  • CVIスケールは、マニュアルに従って実施しなければなりません。マニュアルをしっかりと理解し、何度も練習した後、対象となる重障児・者に実施することをお願いします。
  • ご使用になる前に平成26年の日本重症心身障害学会誌 39(3)に掲載された論文「重症心身障害児(者)を対象とした大脳性視覚障害重症度評価スケールの開発」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmid/39/3/39_397/_pdf/-char/ja)をご一読されることをお勧めします。

重症心身障害児(者)を対象とした大脳性視覚障害重症度評価スケール」(CVIスケール)

「マニュアル」、「記録用紙」、「視標」の3種類がダウンロードできます。各自印刷してご利用ください。「視標」はインクジェットプリンターを用い光沢紙に印刷することが求められています。なお、勝手にこれらを無断で改変すること、公開することは禁止しております。
※2024.1.2にマニュアルが一部修正されました。

CVIスケール利用状況

ADL全介助、日常的な視覚行動が極めて乏しい脳性麻痺を有する10代女性に対してCVIスケールを実施した。その視覚反応の特徴より、対象者にわかりやすい視標への注視や追視を促す機会を設け、視覚的に注意を向ける時間の延長を図った。10か月後には重症度得点の改善とともに縞視力のおおよその推定が可能となり、視覚反応の変化を母親からも聞くことができた。

お問合せ・利用状況のご連絡

利用状況についてお知らせください

CVIスケールを使用して、わからなかったこと、良かったことなど、お知らせください。このサイトで公開することにご承諾いただける場合は、その旨も「メッセージ」にご記入ください。公開内容はご相談して決めさせていただきます。